病院のホームページは、親しみやすさや清潔感はもちろんのこと、性別や年齢層に合わせた設計が大切です。
では、なぜホームページは見やすくあるべきなのか。病院のホームページで押さえておくべきポイントを理解して、自院の集客力を高めてみませんか?
なぜ、病院のホームページは見やすい必要があるのか?
患者さんが病院を探す場合、「場所 診療科目」のような大まかなキーワードで検索します。そのうえで、通える範囲の病院を絞り込み、最終的に病院を決定する際にようやく見てもらえるのが病院のホームページです。
病院ホームページにおける“見やすい”とは、次のような条件を満たすサイトを指します。
- 診療科目がわかりやすい
- 病院や医師の印象がわかる
- アクセス方法や診療時間がわかりやすい
明るい雰囲気のサイトであればそれだけでも印象は変わります。さらに、院内の雰囲気がわかる写真の掲載や、診療科目や医師を紹介すれば十分です。
ホームページのCV率アップに繋がる
病院のホームページにおけるコンバージョン(CV)とは、患者さんの受診・予約につなげること。ホームページで集客できれば、営業活動に充てる時間を患者さんの対応に使えます。
更新がないサイトは運営されているのかわかりません。サイト内のコラムなどを定期更新するだけでも、患者さんは安心できるはずです。予約ページへ誘導すれば集客も期待できます。
せっかく運営しているのですから、集客につながるサイト運営をしていきましょう。
病院のホームページ制作で重視すべきポイント
見やすい病院のホームページを作る際には、3つのポイントを抑えることが重要です。患者さんに「自分にピッタリ!」と感じてもらえるよう、抑えるべき3つのポイントをお伝えします。
WHO・WHAT・HOWの丁寧な設計
マーケティング施策は「WHO(誰に)」「WHAT(何を)」「HOW(どのように)」の順で考えるのが基本。ホームページ制作でも同様です。
- どのような人が患者になり得るのかを考える
- ホームページに含めるべき情報を整理
- 情報をどのように伝えるかを明確にする
どのような人にどのような情報を、どのような形で伝えるかがまとまれば、コンテンツ内容やデザインも決まってきます。同じようなイメージを打ち出しているサイトを分析してみましょう。
医療広告ガイドラインを遵守する
医療広告ガイドラインは、病院や診療所の広告に対する規制や違反した場合の罰則を厚生労働省が明示しているものです。
これまでWebサイト上の広告は規制や罰則の対象外でしたが、2019年の改正を機に規制・罰則の対象になりました。
集客への思いが強すぎると、誇大広告を掲載する可能性が高まります。医療に関しては「絶対に治る」や「効果がある」と言い切ることは難しいはず。医療広告ガイドラインを遵守し、トラブルにならないような運用が大切です。
患者視点の使いやすい機能を実装する
ホームページに載せるコンテンツ(情報)は、医者・スタッフの紹介や診療科目、病院へのアクセスなど、患者さんに必要な情報が必須。
さらに、以下のような機能を実装すると、忙しい現代人にとって使いやすくなるはずです。
- 予約機能
- 予約カレンダー機能
- Web予約機能
- 混み具合のリアルタイム表示
- Googleマップでの地図表示
時間がないから受診したくない人にとって便利な機能を導入し、あまり病院にかかる機会のない患者になり得る人を囲い込みましょう。
病院のホームページに載せるべきコンテンツ
見やすい病院のホームページを作るためには、以下6つのコンテンツを含めることが大切です。どれも病院のホームページでは必須の内容ですので、漏らさないよう確認しておきましょう。
医師・スタッフの自己紹介
診察する医者やスタッフには、どのような人がいるのかは載せておくべきコンテンツです。
各診療科目にどのような医師やスタッフがいるのか、写真や簡単なコメントなどを載せることで、患者さんに安心感を与えます。勤務期間や保有資格、これまでの実績や人柄などの情報も載せると、患者さんの安心感が増し、来院する可能性があがるでしょう。
施設紹介
どのような施設や設備があるのかという施設情報も載せましょう。事前に病院内の雰囲気を知らせることで、患者さんにとって未知の世界ではなくなります。できるだけ明るく、清潔感のある写真を掲載するのがポイントです。
売店や食堂、託児所などがあればアピールになります。施設の情報は積極的にホームページに載せましょう。
診療科目
患者さんが病院・診療所のホームページを閲覧する主な目的は、症状にあう診療科目があるかを知りたいからです。
全ての診療科目を載せ、どのような症状の人が受診すべき診療科目なのか、困っていそうな状況を具体的に伝えます。
目につく位置に一覧を載せるか、別途ページを作ったうえでリンクをわかりやすい場所に載せるのがおすすめです。
患者様の声
来院した患者さんの声や意見をホームページに載せることも、患者になり得る人にとっては安心材料になります。検討中の患者さんが病院の雰囲気をイメージできるためです。
いいことばかりでなく、クレームに対して前向きに対応している姿勢も見せましょう。ネガティブな口コミにも丁寧に返信することで、患者さんに寄り添う姿を示せます。
予約フォーム
電話のみの予約受付では、患者になり得る人を逃すことにつながりかねません。予約フォームを準備することで、電話が苦手な人や開院時間外に受診を決めた人を来院につなげます。
スマホ・パソコンどちらからでも予約できるようにし、メニューバーへの固定や、スクロールせずに見られる範囲に載せるなど、わかりやすい位置に表示させましょう。
アクセスや診療時間・問い合わせ先
患者さんが病院・診療所への来院手段を検討しやすいように、アクセス方法は必ず書いておきましょう。近所でなくても、アクセスしやすければ来院の候補に入るためです。具体的に載せておきたいのは次のような内容です。
- 病院の所在地(住所)
- 最寄りの公共の交通機関の駅名・駅からの距離
- 駐車場の収容可能台数
診療時間と電話番号、受付時間を書いておくことで、予約なしで患者さんが来院したにもかかわらず診療時間外だったということも防げるでしょう。
【総合病院】ホームページが見やすい病院例
総合病院は多くの診療科目を扱っているため、幅広い年齢層・さまざまな症状の患者さんがホームページに訪れます。できるだけ年代にかかわらず見やすいデザインやフォントサイズにしておくことが必要です。写真や動画を有効的に使い、総合病院の雰囲気が視覚的に分かるようなホームページを目指しましょう。
桜十字病院
桜十字病院のホームページを開くと、白を基調とした病院のロビーの写真が表示されます。画面左側には、桜十字病院の目指す「生きるを満たす。」というコンセプトが書かれ、イメージにあった写真がスライド形式で表示。サイトを訪れた患者さんの目を引きつけます。
ホームページの色調は白色を中心に、ところどころポイントとなるカラーが取り入れられ、明るく優しいイメージです。
外来・入院・健診などの項目が分かりやすく画面上部に設置。クリックすると各項目についての詳しい情報を知ることができるように設計されています。画面をスクロールしても上部メニューは表示されるため、わざわざ行ったり来たりする必要がないところも使いやすいポイントです。
東北大学病院
東北大学病院のホームページを開くと、大空からドクターヘリが病院に着陸する動画が映し出され、診察の風景や病院内で働いている人の一生懸命な姿を見ることができます。熱心に患者さんへ向かう医療スタッフの姿を見せることで、患者さんに対して安心感を与えられるでしょう。
白色とオレンジ色が基調の暖かいイメージのホームページ。カテゴリー分けボタンのイラストも、白色とオレンジ色で書かれており万人受けするデザインです。明るい色が苦手な患者さんに向けて、画面の色味を変えることもできます。
メニューボタンとアクセスページへのリンクは、スクロールしても常に表示。閲覧途中で来院を決めた人に対しても優しい設計になっています。
【整形外科】ホームページが見やすい病院例
整形外科は日常生活ではあまり馴染みのない診療科目のため、受診に不安を覚える人もいます。診察の流れや、どのような施術をするのかを丁寧に伝えることが大切です。
しみず整形外科リハビリクリニック
ホームページを開くとクリニックのロゴイラストが浮かびあがり、その後クリニックの外観と受付、リハビリの機械の写真がスライド形式で表示されます。
画面の上部には、カラフルなイラストと大きな文字でカテゴリー分けしたメニューボタンがあり、クリックすると詳細な情報にジャンプする設計です。症状別で探す際には、首や肩、肘など体全体の部位ごとに自分の病状に対する治療方法を確認できます。
画面右側には電話番号、住所、Web受付など、予約に必要な情報が書かれており、スクロールせずに必要な情報を確認可能。診療時間が黒丸で表示されているため、視覚的にもわかりやすくなっています。
くれクリニック
整形外科クリニックのホームページの画面の、3分の2は写真で占められています。病院外内、医療施設の写真がスライド形式で表示され、デザインはスタイリッシュ。どちらかというと、高齢者よりも若年層を意識しているように見えます。
クリニックのアイコンの下には、黒字でカテゴリーが書かれており、クリックすると各コンテンツに飛べる仕様。診療時間の表はクリニックのロゴと同じ系統の色を使っており、統一感を感じさせます。
スクロールすると、肩や首、腰や膝など、人のシルエットに合わせて患者さんの感じているであろう症状を列挙。症状をクリックすることで別ページに移動し、調子の悪いところの治療方法を分かりやすく解説しています。
【内科】ホームページが見やすい病院例
内科は多くの患者さんが病院探しをする診療科目。風邪や健康診断だけでなく、内視鏡、アレルギーなど、診察分野が多岐に渡るためです。自院ではどのような症状をみることができるのか、どのような治療をするのかなど、患者さんに分かりやすいホームページ作りを意識しましょう。
ヘンミ胃腸内視鏡・内科クリニック
白いシンプルな背景に、治療中の様子や患者さんに寄り添いアドバイスをする様子、清潔感のある院内の様子が映し出されます。内視鏡検査は怖い・痛いのではと考えている患者さんに安心感を与えられるデザインです。
診療科目はアイコンで見やすく表示。クリックすると、症状から考えられる病気や、胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査のどちらを受けるべきかなどを確認可能。イラストを使って分かりやすく伝える配慮がされています。
「よくあるご質問」ページで細かいことまで丁寧に解説。ホームページを読むだけでどのような治療をするのか心構えすることができ、患者さんの不安を払拭できるでしょう。
オギノ医院
明るい雰囲気の院内の様子と診察する先生の顔から、人を大事にするという信念が伝わる雰囲気。総合内科と呼吸器内科を強みとしていることがわかりやすくなっています。
スマートフォンでも軽く動作し、下にスクロールすると診療科目のアイコンが表示される仕様。アイコンタップで治療内容を詳しく知ることができます。アクセスではGoogleマップを活用。星4のクチコミを掲載することで、初めて受診する患者さんからも安心感を得られるでしょう。
コラムも定期的に書かれており、医者から病気への専門的な知識を提供。患者さんがホームページを定期的に見る仕掛けが見られます。
【小児科】ホームページが見やすい病院例
小児科医のホームページは、忙しい保護者が使いやすいデザインにすることが大切です。画面をスクロールせずに予約できるような工夫をしましょう。
藤森小児科
ポップなイラストがふんだんに使われ、楽しくなるようなサイトデザインです。
子どもが通院を怖がらないよう、熊のステンドグラスや木が描かれた待合室の写真を掲載。「病院=怖い場所」というイメージを与えない配慮です。
スクロールせずに見える範囲の中に、電話番号、ネット予約、病児保育への案内など、必要項目が詰まっているところがポイント。保護者の使い勝手の良さを考えた設計になっています。
また、お知らせコンテンツを2つに分けているところも注目すべき点です。必ず目を通してほしい内容と対象者だけに確認してもらえばいいことを分けることで、大切な連絡が流れることを防ぎます。
かしの木こどもクリニック
小児科・アレルギー科のかしの木こどもクリニックのホームページは、木をイメージしたポップな文字やかわいいイラストが目を引きます。医師が子どもに寄り添う姿勢や笑顔のお母さんの写真、「子どもの成長を見守り支えていく」というキャッチコピーなど、子どもを安心して治療できる印象を与えるデザインです。
院長の顔写真とメッセージをトップページに載せることにより、どのような人が運営しているのかがわかり、安心感につなげられるでしょう。
また、インスタグラムやコラムの更新により、既存の患者さんにも思い出してもらえるきっかけを用意。再診につながるような工夫がされています。
【眼科】ホームページが見やすい病院例
眼科のホームページでは、すでに症状の進行が進んでいる可能性を考えたサイト設計やデザインを選択しましょう。細かい字やフォントを使うと、進行している患者さんには見づらい可能性があるためです。また、治療に対して不安を感じる人が多いため、治療に使う機器の紹介や早めの来院を促す言葉などが必要になります。
くまだ眼科クリニック
くまだ眼科クリニックのホームページは、白と緑を基調にしたスタイリッシュなホームページデザイン。トップページで診療内容や料金表、診療時間など、患者さんが知りたい情報がわかるようになっています。
「治す眼科医を目指す」というキャッチコピーも書かれており、患者さんの目を治したというメッセージを発信。患者さんの目を治すための充実した医療機器も写真と、どのような治療をする医療機器なのかが文章で紹介されています。
スマートフォンでも軽く動かすことができるホームページになっており、スクロールすると治療できる目の症状がアイコンで確認可能。初診はオンライン予約ができるため、初めての患者さんでも来院しやすいようになっています。
長後えんどう眼科
長後えんどう眼科のホームページは白をベースに、目立たせいところにオレンジ色で変化をつけています。暖色のオレンジ色は、患者さんに安心感を与えるでしょう。文字やアイコンは大きく書かれており、患者さんの目のことを気づかっているデザイン。患者さんが知りたい情報が一画面で分かります。
診療案内では「このような症状ありませんか」と患者さんに問いかける文章があり、目の病気かもしれないと注意喚起。病気かもしれないと患者さんが気づき、来院する可能性を高めています。
【産婦人科】ホームページが見やすい病院例
他の診療科目に比べて、来院するハードルが高いのが産婦人科です。医療スタッフにどのような人がいるのかを載せるだけでも、来院へのハードルは下がります。安心して来院してもらえるように柔らかいイメージのホームページを目指しましょう。
愛甲産婦人科麻酔科医院
水彩画がふんだんに描かれ、ほっこりとやさしい気持ちにさせてくれる愛甲産婦人科麻酔科医院のホームページ。スクロールすることにより、診療科目が見られるようになり、最後まで見ると病院について知ることができます。
妊婦さんの不安を和らげる水彩画の柔らかい印象や、寄り添った文章であたたかみを感じさせます。また、院長をはじめとした医療スタッフが顔写真とともに紹介されているため、掲載のない病院よりは安心感が高まるでしょう。
山崎医院
まるで女性雑誌のように、お洒落なデザインが眼をひく山崎医院のホームページ。右上には、ネット予約できるアイコンがしおりのようにぶらさがっています。
ホームページの中央に花に囲まれた幸せそうな女性の写真があり、まわりには女性の悩みや診療科目を記載。フォトギャラリーには出産された赤ちゃんの写真も載っています。実績があることから安心感を覚えるでしょう。
医師やスタッフも顔写真付きで紹介されており、産婦人科への来院に対するハードルの高さを少しでも低くする工夫がされています。
【耳鼻咽喉科】ホームページが見やすい病院例
耳鼻咽喉科は痛い・怖いといったイメージを持つ患者さんもいるでしょう。子どもが受診を嫌がる診療科目でもあります。かわいいキャラクターなどを使いながら、受診の大切さや具体的な治療を知ってもらう努力が必要です。
なりた耳鼻咽喉科
なりた耳鼻咽喉科のホームページでは、象の病院ロゴと大きな病院入り口の写真、施設内の写真が画面いっぱいに表示されます。病院内の印象はトップページの写真で伝わるでしょう。
患者さんが知りたい病院紹介や診療内容などの情報は、左側のアイコンで分けられており、クリックすると詳しく読むことができます。情報はシンプルで読みやすいフォント。必要な情報をコンパクトに文章でまとめられています。
スマートフォンでもすらすらと読めるホームページ構成のため、若年層にも興味を持ってもらいやすいでしょう。
診療予約のマークは右上にずっと表示され、患者さんがすぐに予約できる配慮がされています。