採用広報とは何か? その意味や目的・よくある手法やトレンド・企業の事例をまとめて解説

近年、企業による人材獲得を目的にした情報発信が盛んになっています。公式サイトや採用サイトなどで仕事内容を紹介したり、職場の雰囲気を伝える一連の取り組みは「採用広報」と呼ばれ、採用に積極的な企業を中心に広く浸透しています。

そんな採用広報とは具体的にはどのようなことなのか、採用広報の手法やトレンド、事例などについて解説します。

採用広報とは?

はじめに、採用広報とはどのようなことなのかについてご紹介します。

目的と役割

そもそも、採用活動の目的は「入社後に長く活躍してくれる自社に適した人材を集めること」です。求職者の応募を集めるだけでなく「採用後の”定着”と”活躍”まで」を見据え、自社が求める人材を獲得することを目的にしています。

そのうえで採用広報の役割は、求職者に対して情報発信することで自社の魅力を伝え「一緒に働きたい」、そして「ずっとこの会社で働きたい」と思ってもらえる場を提供し続けることです。

重視されている理由

採用広報が重視される理由は大きく分けて3つあります。

  • 売り手市場による採用難のため
  • 求職者の価値観が変化したため
  • 広報活動の難易度が下がったため

まず一つ目の理由は、昨今の日本は少子化の流れを受けて特に若者層を中心に労働人口が減少傾向であるためです。一方で、有効求人倍率は2010年の0.42%から2020年の1.63%まで10年で1.21%も上昇。売り手市場に変わり「採用難」の状態になりました

この結果、企業は自社に適した人材獲得が難しくなったため、採用広報を重視して注力するようになったのです。

二つ目の理由は「求職者の価値観の変化」です。これまでのように商品やサービスによる企業の差別化が難しくなりつつある昨今、求職者は「企業が持つ価値観」を意識するようになっています。

このことから、企業は求職者に対して自社の価値観を発信し共感を得ようと、採用広報に注力しているのです。

そして、三つ目に「企業が採用広報に取り組みやすくなった」ことがあげられます。例えば、SNSをはじめとする情報発信ツールやメディアによって、企業は求職者に対して情報を発信しやすくなりました。

求職者に対する情報提供や魅力の伝達が容易になったことから、多くの企業が採用広報に取り組むようになったのです。

※参考元:NHK「 【データで読む】有効求人倍率1.03倍 その歴史を振り返ると…)」

採用広報の手法

次に、採用広報には具体的にどんな手法があるのかを見てみましょう。

採用サイにトなどのオウンドメディア

採用広報の定番手法のひとつが「オウンドメディア(Owned Media)」です。具体的には、自社で運営する採用サイトやブログなどが該当します。自社ドメインで採用サイトを制作することもあれば、「Wantedly」や「note」などの既存のプラットフォームを利用することもあります。

求人媒体などのペイドメディア

従来型の手法として知られているのが「ペイドメディア(Paid Media)」です。

転職サイトをはじめとする求人媒体がこれに該当します。企業はお金を払うことで自社の情報を発信でき、利用者が多い媒体であれば効率的に情報を届けることが可能です。

SNSなどのアーンドメディア

ソーシャルメディアを活用する手法が「アーンドメディア(Earned Media)」です。

Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSで情報を発信し、求職者やユーザーが起点となって拡散されることで情報が広まる仕組みです。SNSの爆発的な拡散力を活用する手法と言えます。

採用広報のトレンド

採用広報には様々な手法がありますが、近年ではどのような手法がトレンドとされているのでしょうか? 昨今のトレンドをご紹介します。

SNS

SNSは採用広報における定番の手法であるため多くの企業が注力しています。昨今では、企業アカウントだけでなく「職種や役職ごとに細分化して情報発信すること」がトレンドのようです。

例えば、企業のブランディングをサポートするトゥモローゲート株式会社では、職種別に代表社員のアカウントがあり、それぞれの業務内容や日々の出来事を発信しています。

また、すべてのアカウント名に共通してコーポレートカラーのブラックに合わせ「@ブラックな」を付けてユーモアと統一感を持たせており、求職者をファン化させる工夫を取り入れています。

他にも、株式会社サイバーエージェントは、企業アカウントの他に「新卒採用アカウント(@ca_recruit_info)」や、人事部所属の社員による個人アカウントなどがあります。

自社内で細分化されたアカウントを通して、採用情報以外にも個人の趣味や悩み相談などを交え「企業側の人と求職者の距離感」を縮める工夫がされています。

  • トゥモローゲート株式会社:https://tomorrowgate.co.jp/
  • 株式会社サイバーエージェント 新卒採用アカウント:@ca_recruit_info

テキストコンテンツ

多くの企業が「Wantedly」や「note」を活用し、テキストコンテンツを充実させています。これらのコンテンツ利用者の中にいる「潜在的な求職者にアプローチする取り組み」がトレンドのようです。

例えば、株式会社集英社では「note」を使って、新刊紹介(採用担当のゆるっと新刊紹介)や就活Q&Aなどを発信し、読者すなわち将来的な応募者の獲得に取り組んでいます。

エン・ジャパン株式会社では、ブログ型の社内向けコンテンツ「ensoku!」を社外にも公開し、名物社員や社内行事、社内の雰囲気を積極的に発信しています。

  • 株式会社集英社:https://note.com/shueisha_saiyo/
  • ensoku!:https://www.en-soku.com/

動画や音声配信

「YouTube」や「Clubhouse」といった映像・音声メディアも採用広報に活用されています。これらのメディアでは「特定の層へダイレクトにアプローチする手法」がトレンドのようです。

「YouTube」などの動画配信では、ソニーミュージックグループの新卒採用や、吉本興業グループの採用チャンネルが、動画内でテレビタレントを起用し、若者層からの興味を惹く取り組みをしています。

また、2021年1月には、株式会社ヌーラボがClubhouse上で広報・人事担当の採用に関するトークセッションを実施しており、巷で話題のツールを活用することで「流行に敏感な層」に潜む求職者へアプローチしています。

  • ソニーミュージックグループ:https://www.youtube.com/channel/UCXqcoWATQ-Ph89Zd-PsNUag
  • 吉本興業グループ:https://www.youtube.com/user/yoshimotokko
  • 株式会社ヌーラボ:https://nulab.com/ja/

採用広報の事例

最後に、採用広報で成果を出したとされる企業の事例をご紹介します。

株式会社メルカリ

フリマアプリの「メルカリ」で有名な株式会社メルカリは、オウンドメディア「メルカン」を運営しています。

同社で働いている人の姿や、サービスができるまでのストーリー、企業の課題など様々な情報を発信し、読者の中にいるであろう就職や転職を検討中の潜在層へ同社の魅力を伝えています。

2016年から「メルカン」と「メルカンエフエム」と呼ばれるPodcastも続いており、コアなファンもいるとされています。このような積極的な情報発信の結果「採用に強いメルカリ」というイメージが広まりました。

  • メルカン:https://mercan.mercari.com/
  • メルカンエフエム:https://podcasts.apple.com/jp/podcast/mercan-fm/id1127622501

株式会社Gunosy

情報キュレーションアプリで有名な株式会社Gunosyは、Wantedly上でオウンドメディア「Gunosiru」を展開しています。

採用に関する情報だけでなく、忘年会の様子や社員密着記事、プライベートな部分も公開して同社の魅力を伝えています。

同社が実施したアンケートでは、入社した人の100%が「Gunosiru」を読んだことがあったそうです。社外からの取材申し込みも多く、採用広報と同時に同社のブランディングにも成功した事例といえます。

  • Gunosiru:https://gunosiru.gunosy.co.jp/

医療業界でも採用広報は重要

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記事では、ビジネスの全業界に対して通じる「採用広報」の解説をしました。しかしこれは、医療業界においても、理想的な人材獲得のためには採用広報が欠かせないでしょう。環境、雰囲気、そして働いている人の姿を医療施設側から積極的に発信することで、潜在的な求職者にも魅力が伝わります。

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